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二つのタイプ

政治家には大別して二つのタイプがある。

世界や国家の状況を憂い、政治家になって問題解決のために貢献したいと決意し、自分の主張を人々に理解してもらうため大変な努力をして歴史、哲学、経済などの教養を身に着け、選挙でもしっかり政策を主張して、政治家としてデビューする者。まずは、これがひとつのタイプである。このタイプは、政治家になったら、必ず課題解決のために戦う。必要な時に躊躇せず必要な発言をし、また行動する。

「それが当たり前だろう。政治家はそうでなければならない」

と、一般の人々は思うだろう。ところが、そのタイプは多数派ではない。戦い、発言する政治家は、行動するため苦労が多くなる。また当然、敵が増える。所属する政党の幹部と意見が違って対立する場合もある。幹部の機嫌を損ねれば、党や政府の要職が回ってこなくなる恐れもある。

そこで、もう一つのタイプの政治家が生まれる。なるべく多くの人に支持してもらうため、人々の賛否が分かれるような深刻な問題には関与しない。自分の考えも発言しない。誰も反対しないようなことを言って、いつもニコニコと選挙区をかけ回る。党の幹部にも平身低頭してゴマをする。出世のためである。

まるでダメなサラリーマンではないか。そのとおり、政治家になった使命を全うするよりも、一日でも議員を長くつとめていい思いをしたい。結構、そんなタイプが多いのである。

私は当選直後からばりばり活躍した。重要課題では必ず自分の意見を表明した。政策を実現するために、同志を募って議員連盟をいくつも作った。おのずからメディアの取材も増え、テレビのニュース番組などに顔が映る機会も増えた。当選して間もない1年生議員にも関わらず、衆議院本会議での党代表質問を行うという栄誉にも浴した。

すると不思議なことが起きた。党神奈川県連の大物地方議員たちがそろって衆議院議員会館の私の事務所を訪ねてきて、こう言うのだ。

「米田君、派手に活躍しすぎだよ。もうちょっと地味にしたらどうだ?」

一瞬わが耳を疑った。むしろ、よく頑張っているとほめてくれると思っていたからだ。親しくなった新聞記者が、大物地方議員たちの心理を私に解説した。

「他の地方出身で落下傘みたいに神奈川県に舞い降りてきて、横浜市会議員に当選したら、その途中で衆議院候補になり、当選したらメディアも注目する活躍ぶり。とにかく気に食わない。生意気だ。このままだと、俺たちがやがて彼の風下にたたされることになる」

そんな根性だろうというのだ。そういえば、ある大物地方議員で、選挙地盤の区が江戸時代は村だった頃からの大地主の家柄だという男が私に言ったことがある。

「君は衆議院議員に当選したが、本来、このへんで衆議院議員になるのは、俺みたいな家の生まれの者なんだよ」

政治家としてどうあるべきかではなく、あくまでもムラ社会の論理が、彼らの頭の中では優先していたのだ。